「ワクチン接種率25%まで低下」 新型コロナ流行期第9波はどうなるのか?【谷龍哉】
■感染症対策を緩めた状態での流行期ははじめて
新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行となってから、初めての流行期が訪れようとしているため、私たちは「感染症対策を緩めた状態での流行期」を経験することになります。
5類感染症へ移行と聞いても、よくわからない人もいるかもしれません。簡単にまとめると新型コロナ関連の報告が1週間単位に切り替わっているため、以前のように連日その日の陽性者数がニュースに流れることもなく、新型コロナ感染症の検査費、医療費、入院費などは保険適用での有料となります。(注4)
さらに、感染者への自宅療養支援が原則終了となり、自宅療養中に外出するかどうかは個人の判断に委ねられるため、以前よりも多くの感染者が外を出歩くことが想像できるのではないでしょうか。
今まであった、濃厚接触者や感染者への外出自粛要請は、協力要請に変わるため、「周りに感染を広げてしまうから外に出てはいけない」という国民意識が低下することも危惧されます。
インフルエンザですら感染しているのに人の集まる場所へ来ちゃうような人が昔からいますし、新型コロナに感染していても、無症状や症状が軽ければ「休みになった」と喜んで外に走り出す人たちが、それなりの規模で出てくると思うんですよね。
新型コロナウイルスは、症状が出ていなくても強い感染力をもっているため、どうしても外出が必要な場合以外は、自宅療養することが最善なのは間違いありません。
新型コロナ感染者数が増加傾向にあると話しましたが、それに対して新型コロナワクチンの接種率はどうなっているのでしょうか。首相官邸HPでは国民の新型コロナワクチン接種回数について、1回目~3回目までと4回目以上がそれぞれ公開されています。(注5)
ここで、4回目以上という点が気になったので調べたところ、以下のような接種率が出てきました。
令和5年6月25日までの新型コロナワクチン合計接種回数/接種率(注5、注6)
1回目 1憶0472万2568/81.0%
2回目 1憶0340万1248/80.0%
3回目 8654万8026/68.7%
4回目 5876万0196/46.7%
5回目 3198万0132/25.4%
6回目 1418万3411/11.3%(高齢者・基礎疾患者の先行接種段階)
※令和4年1月1日の住民基本台帳に基づく全国の人口「1億2,592万7,902人」を元に算出(注6)
見栄え以外の理由で、4回目以上とまとめているのかどうか分かりませんが、3回目以降から接種率が大幅に落ち込み、5回目には約25%まで減少しています。このデータから多くの人が新型コロナワクチンの接種をしなくなっているのが読み取れると思います。
このような新型コロナワクチン接種状況の中で、新型コロナ第9波が近いとされており、この夏に大きな流行が起きる危険性があるようです。
注) 4)【詳しく】新型コロナ 5月8日から「5類」に移行 何が変わる 2023年5月8日 https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/category5/detail/detail_62.html 5)新型コロナワクチンについて 首相官邸 https://www.kantei.go.jp/jp/headline/kansensho/vaccine.html 6)住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数のポイント(令和4年1月1日現在) https://www.soumu.go.jp/main_content/000829112.pdf